APV法

APV法(Adjusted Present Value法)は、企業価値評価の一手法であり、特にM&Aにおいて広く利用されます。

APV法の基本的な考え方は、企業価値をレバレッジ(負債を利用すること)効果を考慮したうえで評価する点にあります。この評価法は、企業の資本構成が変動するシナリオを前提にしているため、特にM&Aのような資本構成が劇的に変わる場面で有効です。

APV法のプロセスは主に2つのステップから構成されます。第一に、企業が全額自己資金で運営される「アンレバードファーム」の価値を求めることです。これにより、企業が負債を一切持たない場合の純粋な企業価値が計算されます。第二に、負債利用による税効果や、その他のシナジー効果を考慮した価値を加算します。これにより、企業が実際に負債を利用する場合の総合的な価値が明らかになります。

APV法の最大の利点は、個別に評価可能な税効果やシナジー効果を明確に分離して計算する点です。これにより、M&Aの際に重要な要素(例:買収後の税効果や借入金によるリスク)を各々独立して評価でき、総合的かつ詳細な企業価値評価が可能となります。特にレバレッジを用いたM&Aにおいて、APV法はDCF法に比べてより現実的かつ詳細な評価を提供することが多いため、専門家に広く採用されています。

関連用語

企業価値