第三者割当増資は、企業が既存の株主以外の特定の第三者に対して新株を発行し、資本金を増加させる手法です。主に資金調達や経営資源の強化を目的として行われます。第三者割当増資は、企業にとって迅速かつ確実に資金を調達する手段となり得るため、M&A業界においても頻繁に利用されます。
資金調達の観点から見れば、第三者割当増資は金融機関からの借り入れとは異なり返済義務がないため、企業の財務体質を安定させる効果があります。また、特定の戦略的パートナーや投資家からの資金を導入することで、資本だけでなくノウハウや市場アクセスといった無形資産を獲得することも可能です。
M&A業界においては、第三者割当増資は戦略的な提携や買収の前段階として行われることが多いです。例えば、買収対象企業に対する資金提供やその株式の一部を取得することで、買収をスムーズに進めるための足がかりとすることができます。また、企業が第三者割当増資を通じて特定の投資家から資金を調達することで、競合他社に対する優位性を高めるケースもあります。
さらに、第三者割当増資は企業経営者が持ち株割合を維持しながらも資金調達を行う手段としても有効です。これにより、経営者が企業の経営権を失うリスクを最小限に抑えることができます。ただし、一方で既存株主の持ち分が希薄化するため、その影響を事前に十分に考慮する必要があります。
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