コングロマリット・ディスカウント

コングロマリット・ディスカウントとは、多角的に事業を展開する企業(コングロマリット)が、その企業価値に対して市場で低く評価される現象を指します。一般的には、企業が複数の異なる事業を持つことで、各事業の個別の成長性や収益性が見えにくくなるため、投資家が企業全体の価値を適切に評価できない、または評価を過小評価してしまうことが原因とされています。

具体的には、コングロマリット企業の個々の事業部門の価値を個別に評価した場合、その総和が企業全体の時価総額を上回る状況が生じます。これがコングロマリット・ディスカウントと呼ばれる所以です。さらに、管理の複雑化、シナジー効果の不足、異なる事業間のリソース配分の不透明さなども、ディスカウントの要因として挙げられます。

M&A業界においては、この現象は特に重要な意味を持ちます。企業が多角化戦略を進める際や、逆に事業のスピンオフや分割を考える際に、このディスカウントの存在が戦略的な意思決定に影響を与えるからです。投資家や経営陣は、企業価値を最大化するために、事業ポートフォリオの最適化を図る必要があります。

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