クラウンジュエル(Crown Jewel)は、企業の中で特に価値が高い資産や事業部門を指すM&Aの用語です。この用語はもともと王室の宝石を意味しており、そこから転じて企業価値の最も重要な要素を示します。クラウンジュエルは企業にとっての「核」となる部分であり、多くの場合、競争力の源泉や収益力の高い部門、知的財産権、ブランド価値、主要な顧客リストなどが含まれます。
M&Aのプロセスにおいて、クラウンジュエルはしばしば買収対象となります。そのため、買収防衛策として「クラウンジュエル防衛」と呼ばれる手法が用いられます。これは、敵対的買収を避けるために、あらかじめクラウンジュエルを他社に売却する契約を結んだり、分割・再編を行ったりする手法です。このようにして、買収者が目当てとする最も価値のある部分を手に入れられないようにすることで、買収意欲を減退させる狙いがあります。
例えば、ある技術企業が先進的な特許技術を多数保有している場合、その特許がクラウンジュエルと見なされます。もし敵対的な買収のリスクが高まると、その企業は特許を別の事業体に移管するなどの措置を講じて買収を阻止することが可能です。このように、クラウンジュエルの管理と防衛は、企業戦略やM&Aの成功において非常に重要な要素となります。
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