偶発債務

偶発債務(contingent liabilities)とは、将来に発生する可能性があるが、現在の時点では確定していない負債のことを指します。法律的な請求や契約上の義務、不確実性が存在する状況で生じます。例えば、訴訟リスクや保証債務、保証や担保がある場合などが該当します。これらは、発生する条件が満たされた場合に初めて実際の債務として認識されるため、確定していない段階では財務諸表には記載されず、注記として開示されることが一般的です。

特にM&A業界では、偶発債務の管理と評価が非常に重要です。M&A取引におけるデューデリジェンス過程では、買収対象会社の偶発債務を詳細に調査することが求められます。偶発債務が予想以上に大きい場合、それが取引のリスクとなり、買収価格の調整や条件変更、場合によっては取引自体が見直されることもあります。また、買収後に偶発債務が実際に発生した場合、それは新たなオーナーにとって重大な財務負担となり得るため、M&A取引の成功を左右する要素となります。したがって、買収者は偶発債務の適切な評価と対策を講じることが、M&A取引のリスク管理において欠かせない要素となっています。

関連用語

簿外債務